アスペルガー社会人のBlog

『ずっと「普通」になりたかった。』 グニラ ガーランド

高機能自閉症当事者による自伝。

著者は幼い頃より周囲との違和感に悩んでいたが、
成人後に高機能自閉症と診断される。

両親の離婚、丸裸で家の中を歩き回る母、
小中学校でのいじめ、
ドラッグ、セックス、アルコール、
そして高機能自閉と診断されるまでの壮絶な人生を綴っている。

最も印象に残ったのは以下の文章だ。
これから障害を理解しようとするものに重要な視座を与えてくれた。

「以前の私は、このように他の人々を観察することで、自分をみんなに似せようとしてきた。でもこのごろでは、自分の観察力は別の目的で使っている。自分とみんなを見比べて、どこが共通で、どこが違うのか見極めるのだ。」p.272

そして著者は、心理療法の中で定型の行動様式を学び、心理学の本を片っ端から読んだそうだ。
勉強の重要性を感じる。

他にも印象に残った部分をMore以下に記しておきたい。

ずっと「普通」になりたかった。
Gunilla Gerland ニキ リンコ

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「私は私のままで愛されたかった。そして、そのままで愛してもらえないとわかったときも、愛してもらうにはお返しが必要だという発想が全く浮かばなかったのだ。大きくなってから知ったことだが、他の人たちは、愛してもらうためにお返しをしている。甘えたり、言いつけに従ったり、そういった行為で。でも私は、それに気づかなかった。愛してくれないなら、一人にしておいてほしいと思った。」p.22

「一人でいさせてもらうには、もう一つ代償を支払わねばならなかった。感謝の念という代償である。保育園に限ったことではない。のちに学校に上がってからも同じだった。少しでも特別扱いをしてもらって、一人で何かをやらせてもらえたかと思うと必ず、これは誰かの厚意のおかげだと念を押され、ありがたく思うよう強いられることになった。」p.78

「同時に私は、これまでの自分がいかにだまされやすい子だったかということに気がついた。・・・だから私は、すべての人間を、極端までに警戒するようになった。」p.126

「数学も白紙で出すことにした。まず名前とクラスを書き、何も言われなければ、そのまま提出して部屋を出て行く。・・・こういった態度が、人の目には挑発的に映るものだなんて、私は本当に知らなかったのだ。自分の行為が、他人にそんな影響を及ぼすとは、考えても見なかった。もちろん、生徒は試験問題をやるべきだということは知っている。でも、私には本当に出来ないのだから、しかたがないではないか。私の成績だし、私の人生なのに。」p.172

「でも、こんな風に情報を閉め出していると、周囲の人をひどく刺激してしまうことになった。どうやらみんなは、私が関心を払わないのを、自分に対する侮辱、個人攻撃だと思ってしまうらしいのだ。・・・私の反応が少なくなればなるほど、相手の反応は激しくなる。いったいなぜなんだろう?私は無視しているのだから、無視してくれてもよさそうなものなのに・・・。それが私の論理だった。」p.160

「人と会話していて、どうも話が通じなくてぎくしゃくすることが多いというのには気がついていた。でも理由までは分からなかった。 誰かに「お元気ですか」ときかれると、自分も「あなたこそお元気?」と言わねばならないことがわからず、ただ「はい、元気です」とだけ答えてしまう。自分は今「はい、元気です」以外にも何か言わなければならないというのが読み取れないのだ。私には、こういう会話の感覚というものがなかった。・・・だから、本当はもっと言いたいこともあり、相手のことを気にかけてもいるのに、実際以上に無関心に見られてしまうことが多かった。 あるいは、遠まわしな言い方で質問されると、話がそこで止まってしまうこともあった。」p.185-186
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by abcde354 | 2006-06-13 21:16 | 読書 | Trackback | Comments(2)
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Commented by ぱせり at 2010-03-17 23:24 x
とうふさん、再度おじゃまします。文章長くなります。
本のタイトル「ずっと「普通」になりたかった」は私そのもので、私が子どもの頃からずっと持っていた気持ちです。
私は子どもの頃から学校や職場など周囲に対してずっと疎外感を持っていました。
「普通」になって、皆に認められるためには「結婚」して「子どもを持つこと」。
この2点をクリアできたら、常識人に見えるし、社会に受け入れられるものとずっと信じていました。
今で言う婚活をした結果、相手とは意志疎通がうまくいかず、色々あって自殺未遂をしました。
今では、異性とつきあうことを一言で言ったら「苦痛」としか言い表せません。
かつてつきあった人には「君は複雑な子だね。」と言われたことが忘れられません。
(続きます)
Commented by ぱせり at 2010-03-17 23:43 x
(続きです)
今は婚活をやめています。現在は、仕事で癇癪をおこしたり、落ち込みがひどかったりすることもあり、場をわきまえた「普通」の社会人とはいえません。
でも、自殺するまでこだわった「普通になりたい」という執着が、今は少しばかり薄れてきました。
いままでずっと、間違った努力をしたのではないか?
無理して「普通」になって、皆に同化する必要はないのではないか?と思うようになりました。

私のお薦めの本は、角田光代さんの「対岸の彼女」です。
主人公の描写が、アスペルガーの方も、このblogを読んでいる方も参考になる本と思ったので、書いてみました。
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成人アスペルガー症候群当事者とうふ(2006年確定診断済)が綴る、アスペルガー的社会人生活。
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