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『べてるの家の「非」援助論』 浦河べてるの家 (1)

「べてるの家」の成功要因を学びたく、手に取った。
(1)では「べてるの家」の外的成功要因について記述したい。

外的成功要因は3つの悪条件にあったことが察せられた。
1点目は、地域で精神障害者は日常的に迷惑な存在であり、
「理解を求める」ことは最初から諦めなければいけなかったこと。
差別・偏見は当然というコンセンサスが当事者間で出来ていたからこそ、
1袋3円という儲けにならない昆布の袋詰め作業が5年も続き、
地域を誉め続けるという戦略も生まれたのだろう。

2点目は、地域経済全体が衰退していたこと。
それは、日高昆布の産地直送販売に対して漁協の協力を取り付けたエピソードに現れている。
当時漁協は日高昆布消費量の頭打ちに悩んでいた。
販路拡大へ手段を選べる状況ではなかったため、
障害の有無に関係なく協力が得られた。

3点目は、精神障害者の集まりであったということ。
日高昆布の出張販売日、販売担当早坂さんは非常に状態が悪かったという。
しかし、日高昆布は完売した。
何故なら、ボランティアの奥様達が
「早坂さんは体調悪いのに売りに来ている、買ってあげて」
と言って売ってくれたから。
障害者の集まりであることが"売り"になったのだ。

①障害に対する「差別・偏見」は当然という認識を持ち、
障害に対する理解を求めないこと。
②差別・偏見が当然だからこそ、
"誰もやりたがらない"が"必要"なものをキャッチして
積極的に事業化していくこと。
③障害というハンデを"売り"にする方策を考えること。
重要な示唆を頂いた。

べてるの家の「非」援助論―そのままでいいと思えるための25章 (シリーズ・ケアをひらく)
浦河べてるの家

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by abcde354 | 2006-11-12 15:03 | 読書 | Comments(0)

成人アスペルガー症候群当事者とうふ(2006年確定診断済)が綴る、アスペルガー的社会人生活。


by abcde354