アスペルガー社会人のBlog

『一緒にいてもひとり』 カトリン・ベントリー

副題は「アスペルガーの結婚がうまくいくために」だが、
恋愛を成就をさせるための書物ではない。
定型とアスペルガーの結婚生活で必要なことを定型の視点から述べている。

結婚生活17年目にして著者のパートナーはアスペルガーの確定診断を受けた。
その診断を受けるまでの著者の苦悩が隠すことなく赤裸々に語られている。
著者とパートナーの取った行動が具体的に示されているので、
アスペルガーの、特に心の理論が弱い自分にとっては、
「定型が求めている行動」を知る良い機会になった。

最も印象に残った
「著者が病気になった時のパートナーの行動」
のくだりをMore以下に引用しておく。
自分も今までパートナーと同じような行動を取って来た。
思いやりを示したつもりのその行動が
定型にどう誤解されていたのかを知り、愕然とした。

一緒にいてもひとり―アスペルガーの結婚がうまくいくために
室崎 育美

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結婚して初めて私が病気になったときのことです。
夕食のとき、具合が悪いと言いました。
私は彼がそれで大騒ぎするとは思いませんでしたが、彼の反応は確かに驚きでした。
「こっちに来て、額を触れさせてくれ」とか「お茶を飲むかい?」とは言いませんでした。
言ったのは、
「病気ならベットで寝ていなさい。それが病人のすることだろ。何でぼくに話すんだ?」。
まだ彼がASとは知りませんでしたので、
彼の表情が全く変わらず同情する様子もないのには驚きました。
何故私が起きていて、辛い思いをしたがるのかわからなかったのです。

ASであるためにギャビン(彼)は人の立場に立つことが出来ませんでした。
自分の視点からしか見られませんでした。
物事を、それがどう自分に影響するかで判断しました。
薄情だったからではなく、ほかの方法を知らなかったからです。
彼の事態への取り組み方はいつも大変論理的です。
病気なら寝ていなくてはならない。
同じ状況なら彼はこの通りにするでしょう。
私にも正しい方向を示して助けたかったのです。
でも、私はそれに気がつきませんでした。
私が受け取ったのは
「病気の時のきみは嫌いだ。よくなるまで近づかないでくれ。」でした。
誤解でした。
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by abcde354 | 2008-12-07 13:08 | 読書 | Trackback | Comments(17)
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Commented by ぽこ at 2008-12-07 14:06 x
とうふさんの引用文を読んで、ぜひ読んでみたいと思いました。

実は、何度か読もうかと思っていた本だったのですが、題名が寂しくて
読むと自分自身が辛くなりそうな気がしたので、躊躇していました。

引用文に近い事を私にとって大切な人に、言われた事があります。
自分自身が期待していた言葉と違うなあ~という気持ちになりました。

「私の事を嫌いだから、冷たい言葉を言う。素っ気ない。」

こういった誤解を積み重ねてしまったな・・・という気持ちです。
読んだら、とうふさんに感想をお伝えしたいと思います。
Commented by abcde354 at 2008-12-07 23:02
ぽこさん、コメント有難うございます。
この本は図書館で借りて読みましたが、有意義な本なので購入しようと思っています。
著者と著者のパートナーの言動が大変ストレートに書かれているので、
自分にとっては大変分かりやすい本でした。
是非お読みになってみてください。
Commented by maple at 2008-12-09 12:51 x
父がAS気味な人です。母と父の会話は上記のようです。
気が付かない父に母は怒ってます。^^;
そして、父が病気で倒れた時、母は献身的に看病するのですが…。
母が倒れた時、なんのお返しもありません。
普通の感情では悲しいと思います。
死ぬまで父がASなんてわからないだろし、
母は、このまま、一生怒りながら暮らすんだと思います。
母にとって、大変苦しいことなのに、仕方がありません。
Commented by hikkey05 at 2008-12-10 08:21
とうふさん、しばらくです。宇多田ヒカルの唄のなかで件の本の題名に似た歌詞がありましたね。「そばにいるのに孤独を確認する・・・」みたいな。そういえばその曲を聴いて共感したこともありました。ぜひ読んでみたいと思います!!
Commented at 2008-12-11 02:21 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2008-12-11 02:22 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2008-12-11 02:27 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by ぽこ at 2008-12-14 17:19 x
早速、読みました。

この本でも多くの気づきがありました。
特に14章の「連想がストレスを生む」で著者のパートナーが語っている(P119)の
部分は、参考になりました。

「自分の頭が連想でいっぱいか、まったくの空っぽかという事実がぼくの毎日の
ストレス源なんだ。」

大切な人が、一言をかなり重く受け取るというのを私は、感じていました。
連想が止まらなくなるからというのがわかりました。

パートナーの言葉に、当事者の方の想像以上の大変さを感じました。

実は、私自身が発達障害の傾向があるのではないかと思った事がありました。
その頃、大切な人と同じような行動をするようになりました。
テレビの音が耳に障ったり、忘れっぽく不安定になりました。
ある日、自然に治まりました。不思議でした。

本を読み、答えが見つかりました。
21章の「ストレス要因 お互いを理解する」(P186)で著者自身がストレス過剰になった時にパートナーと同じようになったとありました。

アスペルガーの方のストレスレベルを下げる手伝いをすれば、関係によい影響が出る
でしょうとあり、少し光が見えた気がしました。
Commented by ぽこ at 2008-12-14 17:21 x
「サボテンとバラ」(P12)という詩は、とてもよかったです。

「あなたがあなたでいたいように、私も私でいたい。
二人が同じ植物になってしまうより、違いを受け入れられるようになろう。」

この部分がとてもいいなと思いました。

とうふさん、とてもいい本をご紹介下さいましてありがとうございました。
読む勇気がありませんでしたが、読んでとてもよかったです。

ありがとうございました。

これからも良い本の紹介を楽しみにしています。
Commented by abcde354 at 2008-12-14 21:05
mapleさん、コメント有難うございます。
お父様がAS気味な方なのですね。お話伺ってお母様はお辛いだろうとASの自分でも頭では分かるのですが、実際の局面になると本のようになってしまいます。気をつけてまいりたいと思います。どうも有り難うございました。
Commented by abcde354 at 2008-12-14 23:11
hikkey05さん、お久しぶりです。コメント有難うございます。
この本はアスペルガーの行動が定型にどう見えるのか知るのに大変有意義な書物でした。よろしければお読みになってみてください。
Commented by abcde354 at 2008-12-14 23:45
鍵1~3さん、コメント有難うございます。全然マニアックではないですよ。
確かに、この本は結婚生活を続けることを良しとしていますね。『「恋愛」「結婚」「対幻想」を善とし、駆り立てるものは何なのか』非常に面白い研究テーマだと思います。是非また話し合っていけたら嬉しいです。
Commented by いろは at 2008-12-14 23:57 x
パートナーに、よく、「優しくない」と言われます。
私の場合、「大丈夫?」など、気遣うことばは口から出ますが、
あまり辛そうに見えないうえテレビなんか見ている場合は
げんきなんじゃないの?と思ってしまい、顔にでたり、
頑張って心掛けないと、大丈夫?なんて言えません。

他人からの気遣いに対する感謝も足りないらしいです。
(ありがためいわくなこともありませんか?)
感じ方が違うので、お互いに誤解も沢山・・
Commented by abcde354 at 2008-12-16 00:33
ぽこさん、コメント有難うございます。
気付きがあったようで紹介した者として大変嬉しく思います。
定型とASの違いでしょうか、印象に残るポイントが違っていたので
大変興味深く拝見させていただきました。
今後もまた良い本みつけて紹介していけたらと思っております。
Commented by abcde354 at 2008-12-16 00:36
いろはさん。コメント有難うございます。
定型とアスペルガーでは感じ方が違うので難しいと自分もよく感じます。
定型の感じ方を少しずつでも勉強して、
心遣いをお互い学んでいけたらいいなと思います。
Commented by メイ at 2009-03-22 19:35 x
私の彼は外国人でアスペです。だから初め、言葉や習慣の違いだと思うようにしていましたが、一緒に暮らし始めて13ヶ月目くらいに、ストレス過剰で燃え尽きてしまいました。そしていろんな(アスペの相方を持つ人の)サイトを検索しているうちに、ここに来ました。そしてとても驚きました。私と彼との関係と全く同じだったからです!
彼も私がひどい風邪で寝込んでいる時に一度だけ私に近寄り『まだ生きている』と言ってそのまま仕事に行ったのです。愕然としました。嵐の日でした。外国で、病状を救急隊に説明することもできませんでした。翌日友人が病院に運んでくれました。彼はお
礼も言いませんでした。すごく情けなかったです。
最近やっと(アスペについて勉強し始めてから)彼の言葉や行動の意味が何となく理解できるようになりました。
こおn本は絶対読んでみたいです。友達に送ってくれるよう頼むつもりです。
Commented by abcde354 at 2009-03-27 01:51
メイさん、コメント有難うございます。『一緒にいてもひとり』のエピソードと大変近いお話ですね。この本はメイさんのためにある本のような気がします。是非読んでみてください。
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成人アスペルガー症候群当事者とうふ(2006年確定診断済)が綴る、アスペルガー的社会人生活。
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